Unforgettable Story
忘れられない
かずおくんの涙。
オンライン教育構想の
原点です。
I will never forget the tears that Kazuo flowed.
His tears are the starting point of the online education initiative.
こんにちは。少し事業構想の原点の話をしたいと思います。私がメガバンクを退職し、1995年に教育の道を歩みはじめたころの話です。
家庭教師事業をはじめて間もないころのこと。私立中学を受験する、かずおくんという男の子に出会いました。素直でとびきりいい子だった。でも、学力の現状はかなり厳しい。それが、かずおくんの現実だった。
「とても週1回の学生の指導では、間違いなく遅れを取り戻せないし受験まで間に合わない」それはかずお君の状況を見てすぐわかりました。
お母さんに、このことは伝えました。
「うちの家計では、提案された指導回数はちょっとムリなんです。優秀なプロの家庭教師がいいことはわかっているんですけど、その金額は出せないんです。」
家計が苦しいことは家の様子から見てわかりました。ですので、それ以上強くは言えませんでした。
苦しい現実にはあらがえない。ムリは押しつけられない。僕は無念を飲みこんで、週1回、学生の家庭教師が指導する、という内容で契約をいただいた。
胸のうちは複雑だった。提案した「週1回学生が指導するコース」では、かずおくんの合格はかなり難しいことが、最初からわかっていたから。
成績が著しく悪かったかずおくんには、マンツーマンの家庭教師という選択肢しか残っていませんでした。ここで断るとかずお君がどうなるか分かっていた僕は申し込みを受けるしかありませんでした。
ほぼ成果が出ないと分かっている申込みを受けるしかなかったのです。どうにもならない現実に、僕は歯ぎしりするばかりでした。
結果、受験に落ちました。大人たちは覚悟をしていました。でも、かずおくんは、涙をポロポロ。ちいさな肩が震えていました。
あれしか選択肢がなかったんだ。仕方がないんだ。
僕は自分に言い聞かせましたが、胸のうちのモヤモヤはすこしも晴れない。
季節が変わって、年がめぐっても、このモヤモヤは、ずっとずっと、僕の中に巣くっていました。
ベストの指導環境を提供したいけど、指導予算の壁が立ちはだかる。
お金が、合格の前に立ちふさがる、大きな壁になってしまう。
地方の子どもたちは、なおさらだ。お金に加えて、近所にいい塾や指導者がいない、という『距離の壁』も、合格をはばんでしまう。経済格差、地方格差が、日本中で、不合格に涙する子を生んでいる。
このジレンマを、なんとしても解消したい。何年たっても消えないこの思いが、スタディ・タウンとオンライン家庭教師という、オンライン教育構想の母だったのです。